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高気密・高断熱住宅とは?メリットとデメリットについて解説
2023.10.31
本記事では高気密・高断熱住宅についてご紹介します。
おうち探しにおいて重要視されている高気密・高断熱住宅ですが、様々なメリットとデメリットがあります。最適な物件選びができるよう、本記事を参考に事前知識を付けていきましょう。
1.高気密・高断熱住宅とは?
まずは、高気密・高断熱住宅とはどのような住宅なのかを見ていきます。以下に高気密住宅と高断熱住宅の特徴をまとめています。
1-1.高気密住宅とは?
高気密住宅とは、建物の隙間がしっかりと埋められていて気密性の高い住宅です。
空気は小さい隙間から出入りし、冬季の室温低下やエアコンの効果に影響を与えます。そこで高気密住宅では防湿シート・気密テープ・断熱材を使用して、不要な隙間を埋めます。空気の流通が少なく気密性が高いため、内部の温度が一定に保たれるのが大きな特徴です。
【ワンポイント用語解説!気密性とは?】
気密性とは空気の流通を防ぐ機能のことです。不動産業界では家の密閉性を表します。
1-2.高断熱住宅とは?
高断熱住宅とは、断熱性能を高めた住宅を指します。
外気温は壁や窓を通じて室内に伝わるため、家温が外気温に左右されてしまうのが一般的です。そこで高断熱住宅では外壁と内壁の間や床下などに断熱材を使用したり、断熱効果の高い窓を採用したりすることで断熱効果を高めます。高断熱住宅は室内外での熱移動が少なく、外気温の影響を受けにくいのが特徴です。
2.高気密・高断熱住宅のメリット
高気密・高断熱住宅のメリットは以下のとおりです。各項目ごとにご説明していきます。
2-1.夏は涼しく、冬暖かい
「夏は涼しく、冬暖かい家」は高気密・高断熱住宅で実現できます。 高気密・高断熱住宅は、先述したとおり外気温の影響を受けにくい特徴があります。夏の暑さや冬の寒さが室内に伝わりにくく、年間を通じて快適に過ごすことが可能です。
2-2.ヒートショック防止に効果的
高気密・高断熱住宅は、ヒートショックのリスクを軽減できます。 ヒートショックとは、家の中での温度差によって血圧や脈拍が急変動する現象です。めまいや立ちくらみに加えて、心臓発作や脳卒中の原因になると言われています。一般的な住宅では部屋間の温度差が10度を超えることも少なくありません。 一方で外気温の影響を受けにくい高気密・高断熱住宅は、室温が一定に保たれるので「リビングは暖かいが、廊下や風呂場が寒い」といった温度差がなくなります。そのためヒートショック防止に繋がるのです。
2-3.光熱費を節約できる
光熱費を節約できるのも嬉しいポイントです。 気密性の高い高気密・高断熱住宅では、エアコンなどの空調機器を効率よく利用できます。一般的な住宅の場合、「新しいエアコンなのに効きが悪く、光熱費が高くなってしまう」という悩みを抱えている方も少なくありません。しかし高気密・高断熱住宅では、空調機器の稼働が最低限で済むため、一般的な住宅と比べて年間数万円の光熱費を削減できるケースもあります。また昨今の燃料価格高騰や電気代高騰を受け、不安を感じている方も多いことでしょう。高気密・高断熱住宅は不安を解決する一手になるため、検討してみてはいかがでしょうか。
2-4.洗濯物が乾きやすい
洗濯物が乾きやすいため、安心して部屋干しをすることができます。 高気密・高断熱住宅では湿度の流入も遮断でき、洗濯物が半日ほどでよく乾きます。梅雨や花粉症の時期も、生乾きなどの心配なく部屋干しすることが可能です。
2-5.防音効果が高い
防音効果が高いのもメリットの一つです。 高気密・高断熱住宅は気密性が高いため、遮音性も優れています。 音が出入りする隙間が少なく、外から入ってくる音を防ぐのはもちろんのこと、室内の音漏れも防ぎます。子育て世帯やペットを飼育している方の「ご近所へ迷惑をかけてしまうかもしれない」という心配も軽減できます。
3.高気密・高断熱住宅のデメリット
高気密・高断熱住宅のデメリットは以下のとおりです。 様々なデメリットがありますが、対策をすることで改善されるものもあります。本章では対策もご紹介しておりますので、一緒に確認していきましょう。
3-1.暖房選びが難しくなる
高気密・高断熱住宅で使用できる暖房器具には、制限があります。 排気を室内に放出する「石油ストーブ」の使用はオススメしません。なぜなら一酸化炭素中毒を引き起こす危険性が高くなるからです。高気密・高断熱住宅では、気密性が高いが故に外気が入りにくい性質があります。そのためエアコンや全館空調などの、排気を室内に排出しない暖房器具がオススメです。
3-2.空気が乾燥しやすい
空気が乾燥しやすい傾向があるため、対策や湿度管理が必要です。 高気密・高断熱住宅は湿度を遮断するという特性上、乾燥しすぎてしまう傾向にあります。過乾燥に陥ると皮膚にダメージを与えてしまう可能性もあり、注意が必要です。洗濯物を干したり、加湿器を付けたりなどの乾燥対策や湿度管理を徹底しましょう。
3-3.内部結露が起きる可能性がある
高気密・高断熱住宅には「内部結露」という注意点があります。 内部結露は冬場に見るガラスにつく水滴ではなく、「壁内に発生する結露」です。カビや腐食の原因となり建物の老朽化に繋がる危険性があります。内部結露を発生させないためには、換気システムを止めないことが重要です。また購入前に、内部結露に対して適切な施工が施されているかを確認するのもオススメです。
3-4.コストがかかる
高気密・高断熱住宅は、一般的な住宅と比べて建築コストがかかるため物件価格も高い傾向があります。 断熱性能や使用している資材によって異なりますが、高性能にするほど価格も高騰します。 初期費用は高くなりますが、月々の光熱費を削減できるというメリットもあるため長期的な視点での検討をオススメします。
4.高気密・高断熱住宅の選び方
高気密・高断熱住宅は、物件ごとにその性能が異なります。より良い物件を見つけるためには、選び方についても事前知識を付けておきましょう。
4-1.気密性を表す3つの数値
気密性や断熱性を表す数値は、高気密・高断熱住宅を選ぶうえで重要です。本章では「C値」「Q値」「UA値」の3つをご紹介します。
■気密性を表すC値
C値は気密性を表す値で、「相当隙間面積」とも言います。家にどの程度の隙間があるのかを把握することができ、数値が小さいほど気密性が高いことを示します。ただ、高気密住宅における明確な基準はありません。物件選びの際は「最もC値が低い物件」を選ぶと良いでしょう。また気密性は内覧時にも確認することも可能です。
■気密性の確認方法
(1)部屋の窓を締め切る
(2)換気扇を回す
(3)ドアを開閉する
■確認ポイント
開閉のしやすさを確認します。
ドアが開きにくいほど「気密性が高い住宅」であると言えます。
※確認の際は必ず不動産会社に相談しましょう。
■断熱性能を表すQ値
Q値は断熱性能を表す値で、「熱損失係数」とも言います。 熱の逃げやすさを把握することができ、数値が小さいほど断熱性が高いことを示します。しかしQ値では正確な断熱性能を測ることができないため、注意が必要です。Q値は算出方法の関係上、延べ床面積が大きいほど断熱性が高くなります。そのため、同じ延べ床面積でないと比較ができません。現在では、後述するUA値が断熱性能を示す基準となっているため、UA値での比較をオススメします。
■断熱性能を表すUA値
UA値は断熱性性能を表す値で、「外皮平均熱貫流率」とも言います。 Q値と同様に熱の逃げやすさを把握することができ、数値が小さいほど断熱性が高いことを示します。UA値は少し複雑なため、画像を用いて詳しくご紹介します。
高断熱住宅における基準値は全国8地域ごとに定められているため、IBECSのホームページで確認しましょう。
4-2.その他のチェックしておきたい項目
■断熱性能等級
断熱性能を見るうえでチェックしておきたいのが「断熱性能等級」です。 断熱性能等級とは「断熱等級」とも言い、省エネ性能を表す値です。断熱等級は2022年に7段階となり、1〜7のうち数字が大きいほど高性能であることを示します。また2025年には1〜3の等級が廃止され、2030年には断熱等級5が義務化される予定です。そのため、住宅購入時は「断熱等級5以上」の物件がオススメです。
■省エネ基準
「省エネ基準」も見ておきたい項目の一つです。 省エネ基準は省エネ性能を表す基準で、評価基準の中には「屋根・外壁・窓などの断熱性能に関する基準」があります。そのため省エネ基準に適合しているか否かも、一つの判断材料になります。しかし、「省エネ基準に適合している住宅=断熱性能が高い」ではないので参考程度に確認するのが良いでしょう。
■換気システム
高気密・高断熱住宅では、24時間換気システムの取り付けが義務付けられています。 この換気システムには第1種換気、第2種換気、第3種換気の3種類がありますが、住宅に採用されるシステムの多くは「第1種換気」「第3種換気」のどちらかです。 「第1種換気システム」を採用している住宅は、気密性や断熱性の効果を最大化できます。しかしながら初期費用が高くランニングコストもかかるため、一般的に普及しているのは「第3種換気」です。そのため資金計画に合わせた最適な選択をオススメします。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事では高気密・高断熱住宅についてご紹介してきました。では、本記事の内容をおさらいしましょう。
■高気密住宅とは
建物の隙間がしっかりと埋められていて気密性の高い住宅
■高断熱住宅
断熱材や断熱効果の高い素材を多く使用し、断熱性能を高めた住宅
■高気密・高断熱住宅のメリット
・夏は涼しく、冬暖かい
・ヒートショック防止に効果的
・光熱費を節約できる
・洗濯物が乾きやすい
・防音効果が高い
■高気密・高断熱住宅のデメリット
・暖房選びが難しくなる
・空気が乾燥しやすい
・内部結露が起きる可能性がある
・コストがかかる
高気密・高断熱住宅は、空気が逃げにくい「高気密」と外気温の影響を受けにくい「高断熱」の両方の効果を併せ持った住宅です。快適な生活を送ることができるなどメリットも多い一方で、デメリットもあります。デメリットへの対策を講じたうえでメリットを最大限に享受できるよう、本記事をお役立て頂けますと幸いです。
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