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【不動産売却に確定申告は必要?】やり方や必要書類に関して解説

不動産売却を行った際は、確定申告が必要になります。
本記事では不動産売却の確定申告について、概要や必要書類をご紹介します。本記事を参考に事前知識を付けておきましょう。

1.不動産売却時の確定申告について

1-1.不動産売却時の確定申告とは?

不動産売却で得た利益は、「譲渡所得」と言い"所得"として扱われます。更に分離課税という分類に該当するため、給与所得とは別に申告が必要です。そのため不動産売却をした場合は、会社員や公務員の方でも「確定申告」が必要になります。

1-2.不動産売却で確定申告が必要なケース

実は不動産売却における確定申告は、「全員に該当する必須項目」という訳ではありません。売却した家や個人の状況によっては、不要なケースもあります。以下の図で確定申告の要否を確認しましょう。

不動産売却に伴う確定申告の要否

1-3.確定申告が不要なケースを解説

上記のとおり譲渡所得が発生していない場合は、確定申告は不要です。しかし、利益の有無に関わらず確定申告をすることで「節税」に繋がる可能性もあります。譲渡所得が発生していないケースでは、一定の条件を満たすと「損益通算」や「繰越控除」という特例が利用できます。損益通算と繰越控除の内容は以下のとおりです。

 

■損益通算とは
損失と他の所得を相殺し、税金を減らすことができる制度

■繰越控除とは
最長3年間に渡り譲渡損失を繰り越して、税金を減らすことができる制度

※詳細は国税庁ホームページよりご確認ください。

 

ここでのポイントは「どちらも、利用には確定申告が必要」という点です。
賢く節税を行うためには、利益の有無に関わらず確定申告をすることをオススメします。

2.事前に知っておきたい「確定申告のあれこれ」

不動産売却における確定申告は馴染みがないため、多くの方が不安を抱えるポイントです。そこで本章では、事前に知っておきたい"確定申告のポイント"をご紹介します。

2-1.確定申告の期限

確定申告の申告期間は売却した翌年の2/16〜3/15です。そのため、期限内に申告を行う必要があります。しかし社会情勢などの影響で変動する場合もあるため、事前確認をオススメします。

2-2.確定申告をしないとどうなる?

不動産売却により利益が出ているのにも関わらず、確定申告をしないとペナルティが課せられる可能性があります。主なペナルティは以下のとおりです。

 

■延滞税の発生
超過した日数に対して課せられる
納付期限から2ヶ月は約7%、2ヶ月以上は約14%

■無申告加算税の発生
本来の税額に対して課せられる
50万円までの部分は15%、50万円を超える部分は20%

■重加算税の発生
ケースによって異なるが35%前後が一般的

【ココがポイント】
ペナルティは、期限を過ぎてから確定申告を行った場合にも発生します。
忘れてしまっていた場合には、気づいた時点で早めの対応をしましょう。

2-3.税務署からの「お尋ね」とは?

不動産売却後に税務署から「お尋ね」が届くことがあります。
お尋ねは税務署が「どれだけの利益を得たのか」「税金をきちんと収めているか」を確認するためのもので、確定申告が不要な場合も届くことがあります。「お尋ね」が届いても焦る必要はありませんが、放置や適当な回答をするとトラブルに繋がるので注意が必要です。以下を参考に落ち着いて対応しましょう。

 

■税務署からの「お尋ね」の対応方法
(1)中身を確認する
(2)正しい回答をして返送する
(3)確定申告が必要な場合は対応をする

2-4.e-Taxとは?

e-Taxとは国税電子申告・納税システムと言い、確定申告から納税までの手続きを"インターネットで行うことができる制度"です。e-Taxは基本的に、「24時間どこからでも」確定申告の提出が可能になります。そのため従来の窓口や郵送に比べて手間がかからず、時間短縮できるのが特徴です。

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3.不動産売却における確定申告の流れややり方

確定申告は「ご自身の手続き」と「税理士への依頼」という2つの方法があります。
ご自身で行う場合は、流れを把握しておくのがオススメです。不動産売却における確定申告の流れを、以下の図で確認しましょう。

不動産売却における確定申告の流れ

それぞれの項目に関して詳しくご紹介していきます。

3-1.STEP1.「特例と控除の確認」

まずは特例や控除を確認します。
不動産売却の特例や控除には、以下のようなものがあります。詳細を国税庁ホームページで確認しながら、ご自身の売却状況と照らし合わせて適用可能なものをチェックしましょう。

不動産売却時に利用可能となる主な「特例」や「控除」

3-2.STEP2.「必要書類の準備」

次に確定申告に必要な書類の準備を行います。
確定申告に必要な書類は以下の9種類です。書類によって取得場所が異なるため、余裕を持って準備をしましょう。また控除を適用する場合は、9つ以外にも様々な書類が必要になるため事前に確認をしておきましょう。

確定申告に必要な書類と取得可能場所の一覧

3-3.STEP3.「譲渡所得税の算出」

次に不動産売却にかかる譲渡所得税を算出します。
税額は譲渡所得の金額や不動産の所有期間によって変動するため、「4.譲渡所得税をシミュレーションを用いて解説」で詳しくご紹介します。

3-4.STEP4.「必要書類の作成」

次に必要書類の作成を行います。
作成方法は手書きとインターネットの2つです。
確定申告はスマートフォンで行うという方法もありますが、不動産売却における確定申告は対応していません。ネットカフェなどのパソコンを利用することも可能ですが、共用のパソコンはウイルス感染などのリスクがあります。そのためパソコンを所持していない場合は手書きでの作成がオススメです。

3-5.STEP5.「書類の提出」

書類が完成したら、税務署へ提出します。
提出方法の中からご自身に合った方法を選択し、余裕を持った提出をしましょう。

 

■書類の提出方法
・税務署に持参する方法
・税務署に郵送する方法
・電子申告(e-Tax)を利用する方法

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4.譲渡所得税をシミュレーションを用いて解説

不動産売却に伴う譲渡所得税について解説をしていきます。
譲渡所得税の計算はかなり複雑なため、本章では計算シミュレーションと共に詳しくご紹介していきます。

4-1.譲渡所得税の計算式と税率

まずは計算式を確認しましょう。

 

■譲渡所得税の算出式
譲渡所得税額= 譲渡所得×譲渡所得税率

■譲渡所得の算出式
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)

※取得費→不動産の購入金額(減価償却を考慮する必要有)/譲渡費用→売却のためにかかった費用

 

なお譲渡所得税率は、売却する不動産の所有期間によって異なります。所有期間ごとの税率を以下の図を参考に見ていきましょう。

不動産売却における譲渡所得の税率表

※平成25年から令和19年まで、復興特別所得税として2.1%を所得税と併せて申告・納付する必要があります。所得税に記載の数字には2.1%が含まれています。

 

ここで注意したいのが所有期間10年以上の場合です。居住用に関しては「10年超所有軽減税率の特例」が適用されます。この特例で課税額が大幅に下がり、課税譲渡所得が6,000万円以下の部分に関しては14.21%、それ以外の部分に関しては20.315%が課税対象です。
また相続した不動産の場合、被相続人がその不動産を取得した日が所有開始日となります。

4-2.譲渡所得税の計算シミュレーション

では次に、数字を用いて計算をしてみましょう。
今回は『売却価格3,000万円/取得費2,100万/譲渡費用50万/所有期間7年』のケースで、シミュレーションをしていきます。

 

【売却価格3,000万円/取得費2,100万/譲渡費用50万/所有期間7年の場合】
(1)譲渡所得の算出
売却価格-(取得費+譲渡費用)=譲渡所得
3,000万-(2,100万+50万)=850万

(2)譲渡所得税額の算出
譲渡所得×譲渡所得税率=譲渡所得税額
850万×20.315%=172万

※100万円以下の金額は切り捨てています。
※特例や控除を加味していない金額のため、実際の納税額はこの金額より低くなる可能性が高いです。

 

譲渡所得税の計算方法は下記の記事でも詳しく説明をしております。譲渡所得税をはじめ、不動産売却にかかる様々な税金をご紹介していますので、併せてチェックしてみてはいかがでしょうか。

不動産売却にかかる税金は?

5.不動産売却における確定申告の「必要書類」を解説

先述したとおり確定申告に必要な書類は以下の9種類です。
それぞれの書類に関して詳しくご紹介していきます。

5-1.確定申告書(旧 確定申告書B様式)

確定申告書は収入や適用する控除、納付税額を記入する申請書です。申告書にはA様式とB様式がありましたが、2023年より「B様式」に統合されました。 用紙は税務署や市役所の窓口、国税庁ホームページより取得することが可能です。

5-2.確定申告書第三表(分離課税用)

確定申告書第三表は、不動産売却における譲渡所得や納付税額を記入する用紙です。用紙は確定申告書と同じく、税務署や市役所の窓口、国税庁ホームページで取得ができます。

5-3.譲渡所得の内訳書

譲渡所得の内訳書には、不動産の所在地や売却価格、購入価格、譲渡費用、代金の受領状況を記入します。内訳書は、4枚構成となっているため記入漏れがないように注意しましょう。用紙は税務署の窓口、国税庁ホームページでの取得が可能ですが、稀に国税庁からご自宅に届くケースもあります。用紙が届いた場合はそちらを使用しても問題ありません。

5-4.不動産売却時の売買契約書

不動産売却時の売買契約書は、売却価格の証明のために必要になります。提出時は原本ではなくコピーを添付しましょう。

5-5.不動産購入時の売買契約書

不動産購入時の売買契約契約書は、購入価格や取得年月日証明のために必要になります。提出時は原本ではなくコピーを添付しましょう。「購入時の売買契約書が見つからない」という方もいらっしゃいますが、添付できなくとも確定申告は可能です。しかし税額が増える可能性が高くなりますので、ご注意ください。

5-6.取得費や譲渡費用の証明となる領収書

領収書は取得費や譲渡費用の証明となるため、不動産購入時・売却時どちらの領収書も必要になります。また、提出時は原本ではなくコピーを添付しましょう。

 

■取得費や譲渡費用の証明として、有効な領収書
・仲介手数料
・相続登記にかかった費用
・印紙代
・測量費
・取り壊し費用

5-7.登記事項証明書

登記事項証明書は、不動産の所在地や所有者、担保などが記載されている書類です。
法務局の窓口での取得に加えて、「登記・供託オンライン申請システム」を利用したオンライン取得も可能です。どちらの方法でも問題ありませんが、オンライン取得の場合は手数料を抑えられるという利点があります。

登記事項証明書の申請方法一覧

5-8.本人確認書類

確定申告には本人確認書類としてマイナンバーカードや保険証、免許証住民票などのコピーの添付が必要です。なおインターネットで申告する場合は、添付が不要になるため覚えておきましょう。

5-9.源泉徴収票

給与所得者の場合は、源泉徴収票も必要です。
確定申告書には給与所得の記載箇所があるため、源泉徴収票を用意しておきましょう。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?本記事では不動産売却における確定申告について、概要や流れ、必要書類をご紹介してきました。では、本記事の内容をおさらいしましょう。

 

■不動産売却時の確定申告とは
・不動産売却で得た利益は「譲渡所得」と言い、確定申告をする必要がある
・利益の有無に関わらず確定申告をすることで「節税」に繋がる可能性がある

■覚えておきたいポイント
・確定申告の申告期間は売却した翌年の2/16〜3/15
・不動産売却により利益が出ているのにも関わらず、確定申告をしないとペナルティが課せられる可能性がある
・確定申告の流れは5つのステップがある
・確定申告に必要な書類は9種類あり、取得場所が異なる

 

不動産売却における確定申告は、複雑な手続きが多いため知識を持っておくことが重要です。また、本記事を不動産売却における確定申告の教科書として、手続きを行う際に見返して頂けますと幸いです。なおME不動産西東京の不動産コラムでは、売却の基礎知識から知っておきたい豆知識まで幅広い情報をお届けしています。ぜひこちらの記事を参考にして頂き、不動産売却の知識を付けておきましょう。

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